いわき市常磐長孫町に昔から伝わるひとつの伝説がある――カッパ、である。
現在は田んぼの中にひっそりと立て札が、川のほとりにはカッパの碑と祠が残るのみであり、その存在は伝説と呼ばれる程に遠い昔のことと思われた。しかし、「カッパがついに捕獲された」との情報が入った。
カッパを捕獲したのは地元民のSさん。
Sさんに話を聞くと「こんな寒いときに緑色の薄手のパーカーで釣りしてる人がいたため、声をかけたところカッパだったので驚いた。家に呼んでキュウリを食べさせたが“しょっぱくて食えたもんじゃない。うちにもっと旨いキュウリがあるから持ってくる”と言って出て行ったので、しばらくすればまた戻ってくると思う」とのこと。捕獲というよりは立ち寄ったと思われる発言ではあったが、食べかけのキュウリを見せてもらうと明らかに人間のものとは思えない歯型であったため、待つことにした。
カッパは、未だ戻ってくる気配はない。Sさんが「カッパでなくても良いので茶飲み友達を募集している」と口にしたのが印象的だった。